フリーランスエンジニアと契約・報酬形態について

フリーランスエンジニアの契約形態や報酬形態について質問される事が増えてきたので、今回は各契約と報酬形態について簡単に記載します。
執筆者プロフィール
法人営業8年→人脈なし・非大卒・未経験からエンジニア(約2年半)→個人事業主のエンジニア(約10ヶ月)→法人化した人
五反田もくもく会&勉強会の主催者
所謂業務委託契約とは
基本的に業務委託契約というものは存在せず、業務委託契約と指すものは以下2つのどちらかを指している事が多いです。
1:請負契約
2:準委任契約
詳細は以下から記載します。
請負契約とは
請負契約は簡単に言うと、システムやホームページなど成果物を完成させ、納品する義務を負う契約です。
また、準委任契約より瑕疵担保責任が強く求められるので、発注者の想定されるシステムやホームページと違う物を納品すると最悪の場合損害賠償請求をされる可能性があります。
特にシステムについては目に見えないものであるため、 お互いのコミュニケーション祖語や発注者のリテラシー不足で思い描いていたシステムにならなかった場合は訴訟になり 、一般的な大企業でも発生しています。 直近で言うと以下訴訟になります。
ワークスアプリケーションズVS古河電気工業株式会社および古河AS株式会社
■訴訟概要:システム作成についてスケジュール遅延及び発注者の求める品質にならなかった為訴訟
■訴訟概要:開発スケジュール遅延による開発中止による損害賠償請求
請負契約報酬形態について
個別の契約にもよりますが、依頼物の完成が終わり、お客さんが検収した後に金額が支払われます。
※検収とは顧客が納品物のチェックを行い、問題ないことをお互い同意する事 検収書などで残す。
その為、作業から売上の入金タームが長くフリーランスの場合は特にキャッシュフローを意識しなければいけない契約形態となります。
例えば
8月:作業
9月:お客さん検収・修正
10月:納品
上記の場合では、売上の入金が最短で10月 大体の場合は11月か12月となります。
フリーランスで請負契約をするメリット
請負については準委任契約より、売上が高くなる場合が多く完成までのスケジュールを厳守すればよい為、
お客様向けには1か月と見積もったシステムを1週間で作成し、残りの期間は別の仕事をしたり休んだりするなど
納期と要件の調整次第では、割と自由に大きく稼げます
もちろんこの納期と要件調整が一番難しいのですが、、、
フリーランスで請負契約をするデメリット
上述したとおり、入金タームが長くなる傾向がある点と 完成物が顧客のイメージと違う場合は、損害賠償をされる可能性があります。
発注者が善人ならいいのですが、発注者に悪意がある場合は、支払い拒否の為検収承認を行わず逆に損害賠償請求をされる可能性もあります。
発注者が検収承認しない場合は契約にもよりますが、 成果物は発注者の権利になる場合も多いです。
つまりタダ働きになります。
参考程度に私が請負契約を行う場合は、
1:最低金額30万以上
2:入金タームを短くする事
3:瑕疵担保責任の損害賠償請求金額に上限を設定する
を条件にしています。
さらに入金タームを早くするためにGMOグループが運営するフリーナンスなどの請求書の買取サービスなどを利用する事もあります。
請求書買取サービスは数パーセント マージンは発生しますが、審査後即日入金される事もあるので高額な請負契約の場合の場合利用することをお勧めします。
基本的に損害賠償リスクがあるので、請負契約の場合は最低30万円~と設定しています。
入金タームは具体的に、発注時に見積金額の20%の手付金を1か月以内に入金してもらい、残り金額は段階な作業段階で入金してもらうという風にしています。金額が合致しない場合は準委任に切り替える提案も行っています。
そもそも成果物責任を負うので、低単価で請け負うような契約ではなく、ランサーズやクラウドワークスで安価で請負契約を受領すると、後々手痛いしっぺ返しを受けますので、 契約書の締結及び条文確認は必須です。
それができない場合は請負契約は締結しない方がよいです
準委任契約とは
役務提供によって、報酬を得る形態でシステムやホームページの完成義務はありません。
※通念的にはあまり求められませんが、この契約でも損害賠償請求権が設定されています。
具体的にはフリーランスエンジニアの場合
1か月の作業時間 140~160h
業務:○○システム開発・保守支援業務
報酬:○○万円
などです。
作業時間が規定されているので、 残業して作業時間の上限160hを超えれば、追加で費用をもらえますし、体調不良などで休んで、140hを下回ると費用を返金する必要があります。
作業場所は顧客との結局交渉次第なので、客先常駐の場合もありますし、リモートワークの場合もあります。
また、厳密に言うと準委任契約は作業場所や作業方法の指定・発注者が作業指示を行う事は違法なので、客先常駐を強制する事はできません。
フリーランスで準委任契約をするメリット
システムの開発責任を負わない事が一番のメリットです。 また、役務提供の為、1か月ごとに検収をするイメージなので、入金タームが非常に短くなりキャッシュフローをあまり意識しなくてよくなります。
また、フリーランスの案件紹介サイトで紹介されている案件は殆どが準委任契約形態なので、案件量も豊富にあります。 技術力があって、人脈や営業力がない場合でもこういったサイトを利用すれば、フリーランスとしては食べていけます。
基本的に以下経験があればエージェントからは月60〜70万以上は提示してもらえるはずです。(東京の場合)
サーバサイドエンジニアの場合
1:業務経験が3年以上の経験
2:基本設計〜テストまですべて業務として経験
3:経験したプログラミング言語がPython Ruby PHPやSwift Kotlin Go Java Scala 1つの言語を2年以上利用
4:MySqlかPostgreSQL Oracle各種DB操作経験あり
5: GitHub SVN Jira RedMineなどのツールを利用した経験あり
インフラエンジニアの場合
1:業務経験が3年以上の経験
2:設計から保守まで経験
3:物理仮想環境の構築経験あり
※AWS・GCPの設計・構築経験などがあれば、月70万以上
未経験で登録しても相手にしてくれません。あくまで現役のエンジニアが対象となります
以下主なフリーランスエンジニア向け案件紹介サイト
客先常駐のみ
リモートワークと客先常駐半々
常駐系だが、福利厚生厚く長期案件が多い
MIDWORKS
リモートワーク系多め
フリーランスで準委任契約をするデメリット
契約作業時間は発注者に時間を割く必要がありますので、 契約時間が1か月140hなどの場合は、その顧客だけとしか仕事ができず、1社に売上を依存する事になります。
また発注者→元受→下請け→自分
のように商流が深い場合に、発注者と元受は請負で 下請け→自分は準委任の場合、発注者と元受が揉めている場合、自分の売り上げも入金されない可能性があります。
これは偽装請負の一例で、契約形態が違うにもかかわらず 発注者がシステム完成義務を求めてくる場合もあり SIの中でも昔から発生している問題です。
私の場合この準委任契約で契約しています。
上記デメリットの対策としては、基本的に多重下請け構造になるSIの仕事は受けず、自社開発の企業と直接契約する形にしています。
以上になります。
フリーランスの人間で顧客から入金されないという話も聞きますが、結局フリーランスは自己責任なので契約書が全てです。自分が締結する契約をちゃんと確認しなければ思わぬ所で足をすくわれます。 ご注意ください。
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