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2019-10-19
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税理士が解説|フリーランスのインボイス制度とは

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消費税に関する税制改正により、2019年10月より消費税率が10%へと増税し、同時に軽減税率制度が導入されたことは皆さんご存知かと思います。

この税制改正では、増税と併せて2023年10月から「インボイス制度」の導入も併せて導入されることになりました。

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著者(たちばな税理士事務所の公式サイト)

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フリーランスの皆さんのうち、売上1,000万円以下で消費税が免税事業者の方には非常に影響があるものですので、

今回は、この「インボイス制度」の導入によるインパクト、「インボイス制度」への対策についてお話したいと思います。

1、インボイス制度の導入によるインパクト

今まで免税事業者の方は、消費税を納める義務がないので顧客から預かった消費税は全て自身の所得とすることが出来ていました。 

インボイス制度によって、この対応が出来なくなります。

2019年10月より消費税率が10%になりました。消費者として、日常的に買い物をする私たちにとっては2%の増税は負担を感じる一方で、フリーランスの皆さんの中には、逆に増税して得したと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

なぜなら、消費税の納税義務のない免税事業者の方は、今まで消費税を8%で請求していたところを10%で請求することができるので、2%請求額が増えて手元に残る資金も増えることになるからです。

しかし、残念ながらその恩恵にあやかれるのもあと数年となっており、2023年10月から導入される「インボイス制度」が始まると状況は一変します。

インボイス制度とは、請求書の発行・保存のルールなのですが、非常にざっくりとした説明を致しますと、「インボイス」という請求書でないと、これまでのように消費税を請求できない仕組みとなっています。

そして、インボイスを発行できるのは消費税の納税義務者のみなので、免税事業者は発行できません。

すなわち、免税事業者のフリーランスの方は、2023年10月以降は、取引先に消費税を請求することが出来なくなってしまいます。

冒頭に記載したとおり、今まで免税事業者の方は、消費税を納める義務がないので預かった消費税は全て自身の所得とすることが出来ていました。

すなわち、クライアントの業務を行うと消費税10%分を追加で受け取ることができ、原則的には国へ納付する必要があるものを納付しなくてもよいという恩恵をあやかっていたということです。

ここで重要なことは、本来納めなければならないものを今までは納めなくてもよかったのですが、2023年10月以降はこの恩恵を受けられなくなるというだけのことです。

ただ、恩恵を受けられなくなっただけとはいえ、消費税を請求できないことになると消費税相当の10%だけ収入が減少するということになります。

例えば売上900万円(税抜)の方であれば、毎年90万円の収入が減少するということになりますから、生計に与える負担は非常に大きいものになります。

2、「インボイス制度」への対策

それでは、インボイス制度への対策はどのようなものがあるか、検討してみたいと思います。

課税事業者になる

非常にシンプルな発想ではありますが、免税事業者ではインボイスを発行することができないので、いっそのこと課税事業者になってインボイスを発行する資格を得るということが考えられます。

課税事業者には、売上高が1,000万円なくてもと届出書を税務署に提出することでなることが出来ます。

この場合、注意すべきは、免税事業者ではなくなってしまうので、当然消費税を請求する一方で納める必要が出てくることです。

一体いくら納める必要があるのかと言いますと、売上金の請求により預かった消費税のおおよそ50%は納税することになります。

なぜ50%かと言いますと、本来であれば預かった消費税は、ほぼ100%の金額を納める必要があるのですが、売上高5,000万円以下のフリーランスの方は、50%分の消費税はなかったことにしてもらうことが出来ます。

これを消費税の簡易課税制度と言います。

この制度の適用を受けるためには、その事業年度が開始される前までに「消費税簡易課税制度の選択届出書」という届出を提出する必要がありますので、ご注意下さい。

仮に年間の売上が800万円(税抜)の方が受け取ることが出来る消費税は、10%相当額の80万円になります。このうち、40万円(80万円×50%)は自分の手元に置いておき、残りの40万円(80万円-40万円)は納税することになります。

結局40万円も納税することになるのか!とお思いかもしれませんが、40万円は手元に残すことが出来ます。

これが免税事業者の場合には、手元に残る金額は0円ですので、歴然とした差があります。

また、消費税を納税すると経費として処理することが出来るので所得税と住民税が安くなります。消費税を40万円納税した場合には、所得の状況によりますが最低でも6万円(40万円×所得税率5%+40万円×住民税率10%)納税を抑えることが可能となります。

売上を1,000万円以下に抑えている方は迷わず伸ばす

フリーランスの方を税務顧問としてこれまで多数担当させて頂きましたが、売上が順調に伸びてきた方から、「売上が1,000万円を超えるまで頑張るべきか否か」というご質問をよく頂きます。

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これは、売上が1,000万円を超えると消費税の納税義務が発生するので、かえって損をするのではないか?という疑問から来るものかと思います。当職からのアドバイスは、「任せてもらえる仕事があるならば、迷わず引き受けて1,000万円を超えてください」というものです。

理由は単純で、売上は伸ばし続けない限り、じりじりと減り始めるからです。

積極的な案件獲得を行わずに何年も売り上げを維持している方というのは、ほとんどいらっしゃいません。

年収が毎年減っていくことは、資金繰り的にも精神衛生上もよくありません。事業は緩やかでも良いのでブレーキをかけずに成長させていく方が良いと思います。

しかし、売上が1,000万円を超えそうになると11月あたりから途端に業務量を減らして、年内の売上を1,000万円以下に抑えようとする動きをされる方が多数いらっしゃいます。

確かに今まではこの対応をしておけば、消費税の納税義務が免れるという短期的なメリットを享受できました。

ただ、上記にも記載した通り2023年10月からは、免税事業者は消費税を請求することが出来なくなりますので、この施策は意味をなさなくなってしまいます。

せっかくフリーランスとして独立・開業したのであれば、1,000万円以内に売上をとどめることに労力を割くのではなく、その労力を用いて1,000万円を超える所得を目指して頂きたいと思います。

もちろん、フリーランスとして働く醍醐味は報酬だけではございません。

裁量をもって業務に当たることが出来たり、時間の使い方も比較的自由になります。そのうえで、手元資金が増やすことが出来れば気持ちにも余裕が出てきますし、新しいことを始めてみたり、仕事に専念できる自分だけのオフィスを借りたりと、とにかく多彩な選択肢をもつことが出来ます。

もし毎年1,000万円以下に売上を留めていた方は、制度も改正されますので、この際一気に1,000万円を超えるようアクセルを踏んでみてはいかがでしょうか。

消費税相当額を請求する

上記で示した方法は、いずれも課税事業者になることを想定した対策になります。

しかし、免税事業者のままでも所得を減らさずに済む方法があります。

それは、消費税相当額を業務報酬の一部として請求する方法です。例えば、現行の制度ですと、10万円(税抜)の業務を行えば、11万円(税込)で請求すると思います。これが2023年10月以降は、消費税分は請求出来なくなってしまうので、10万円でしか請求することが出来ません。

そこで、「消費税分、報酬を値上げしてください」とストレートにクライアントにお願いしたところで値上げは難しいと思いますので、値上げ出来るだけの根拠を設定する必要がございます。

この点は、フリーランスの皆様の業務内容に照らして、顧問税理士などと相談して知恵を絞って頂きたいところですが、業務のクオリティを上げるなど付加価値を付けたり、追加で業務をおこなうアップセルの方法で、業務報酬自体の値上げをし11万円での請求できる体制を整えてみてはいかがでしょうか。

また、「この仕事は多少報酬が増えたとしても〇〇さんに行ってもらいたい」とクライアントに言って頂けるように、担当者から業務上の信頼を得ておくことも重要です。

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